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【取材記録】「布引の森」にうかがいました!

猛暑は過ぎ去ったもののまだ暑さが残る9月26日(金)、布引の森(住所は日野町だが東近江市の施設)にうかがいました。
ネイチャーセンターの遊林会のスタッフの方に、約1.2Kmの大回りルートを1時間ほどかけてご案内いただきました。
外からはスギやヒノキの針葉樹が目立ちますが、中へ入るとコナラやソヨゴ、ヒサカキなどの広葉樹含め73科184種の植物が丘陵地帯に広がります。
フカフカのチップで敷き詰められたネイチャーセンターから始まる遊歩道を歩いていくと、約200万年前の地層(古琵琶湖層群の蒲生層)に出会います。地層に見える粘土層が水が貯える働きをしており、森にある3つの湿地では、ヤマトサンショウウオやモリアオガエル、オオミズゴケやヒメアギスミレなどの生命を育んでいます。また鉄分を含んだ層の影響か、高師小僧や鬼板も出土しています。湿地帯には木道が、起伏のある山道では近自然工法による登山道が整備され、歩きやすいだけでなく、生態系の復元にも配慮されています。この日は、あいにくの曇りで木漏れ日が溢れる森の散策は叶いませんでしたが、間伐も行き届いており尾根筋も明るく、気持ち良くちょっとした山歩きを楽しむことができました。途中、光合成をしないギンリョウソウやササクレシロオニタケなど珍しい腐生植物やキノコにも出会い、またシカが角を研いだ跡やタヌキのタメフンなど野生動物の痕跡も確認できました。ナラ枯れの対策やササユリやクロモジなど野生動物からの保護にも取り組まれていました。
布引の森では、季節を通じて五感を使った自然観察や登山に関するイベントも開催されています。皆さんも一度足を運ばれてはいかがでしょう。
ちなみにこの近くに大森城跡がありますが、この森にもお城があったという話があるようです。

ネイチャーセンター 180万年前の地層(中央左の白い層は粘土層) オオミズゴケ
鬼板 湿地帯には木道が整備 近自然工法により整備された登山道
ギンリョウソウの芽 ササクレシロオニタケ 鹿の角研ぎの跡